切な家族の一員、わんちゃんや猫ちゃんなどペットの健康は飼い主にとってとても重要な割合を占める関心ごとですよね。
お腹を壊したり、皮膚の調子が悪かったり、元気がなかったり・・・、できるだけ良質のフードをあげてみたり、健康にいいとされるサプリを与えてみたりと、ペットのために試行錯誤をしている飼い主さんも多いと思います。
せっかく愛犬の健康を気遣っているのに、見落としがちなのが住環境。室内の空気汚染によって引き起こされるシックハウス症候群は、人だけでなく愛犬や愛猫などペットにも及ぶことも。
24時間換気の義務化などシックハウス対策が強化されている中、人間のシックハウス症候群は減ってきている一方でペットのシックハウス症候群は増加傾向にあるとも言われています。
実際、シックハウス対策の家に住むようになって犬のアトピーが改善されたという事例もあり、住環境を考えることは人だけでなく愛犬の健康を守ることにつながると言えます。
そこで今回は、犬や猫などペットのシックハウス症候群とアレルギーやアトピー、予防法について考えてみたいと思います。
犬・猫などペットはハウスシック症候群になりやすい
実は犬や猫などのペットは、人間に比べてハウスシック症候群になりやすいと言われています。
実際、2003年に建築基準法で「シックハウス法」が制定されて以降、人間だけでなくシックハウス症候群と診断されるペットの数も多く報告されているそう。
その理由は、主に以下の6つです。
1、室内で過ごす時間が長い
最近はほとんどのペットが室内で飼われています。犬であれば朝晩やたまのお出かけ以外、猫や鳥などのペットに至っては、一日中、毎日、室内で過ごすことに。
おのずと室内の空気を吸って生活する時間が人間よりも長くなり、空気中の化学物質を取り込む量も多くなります。
2、人間よりも床に近い
24時間換気などの対策を行なっていても、空気中の化学物質やハウスダストは床近くに留まってしまいます。
そして、床近くで生活している犬や猫などのペットは、その空気を吸って生活している・・・、ということは、より多くの有害物質が体内に入るリスクがあります。
3、汗をかかない
人間が汗をかいて体温調節をするのに対し、犬や猫は舌を出してハァハァと速い呼吸をすることで体温調節をしています。
水を飲んで汗をかき、身体の中に蓄積した老廃物の排出を促すことをデトックスと言いますが、犬や猫は汗をかかない分、身体に取り入れた有害物質の排出もしにくくなります。
4、代謝能力が低い
通常、体内に入った有害物質などの異物は体内で代謝されて排出されますが、排出されずに蓄積された化学物質などが身体の不調や病気を引き起こす原因となります。
犬や猫は体内に入った化学物質を分解する酵素が人間よりも少なく、代謝する能力が人間よりも劣っていると言われています。
そのため、なかなか排出ができず身体の中に溜まってしまい、シックハウス症候群になってしまいやすいのです。
5、嗅覚がいい
犬や猫は人間に比べて嗅覚が鋭いというのはよく知られていますよね。そのため、壁紙や合板に使われている接着剤の匂いにもとても敏感で、人間からは想像もつかないほど強く感じているそう。
強い匂いを感じながら過ごすことが犬や猫にとっては大きなストレスとなり、体調を崩してしまうことがあります。
6、毛づくろい・床を舐める
猫は日常的に毛づくろいします。身体中を舌で舐め、たまにお腹に溜まった毛玉を吐き出したりするのが猫の日常。
ということは、身体の表面に付着した空気中や床の化学物質を、毎日舐めて身体にとりこんでいるということになります。
また、犬はよく家具の足を噛んだり、カーペットを齧ったりと”カミカミ”のいたずらをすることがあったり、フローリングの床を舐めたりします。
トイレの消臭や防虫剤のスプレー、整髪剤、香りが残る柔軟剤など、生活用品に含まれる化学物質も目に見えない粒子が床に落ち、それを犬や猫が口にしているかもしれない・・・と思うとやっぱり心配ですね。
良質なペットフードを与えたり、自然派のシャンプーを使ったりとペットのことを大切に考えているはずなのに、生活環境で健康を害してしまったら飼い主にとっても残念ですよね。
住宅の建築素材や家具、日用品に含まれる化学物質について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
ペットのシックハウス症候群の症状
犬や猫も人間と同じ哺乳類、同じ動物なので、シックハウス症候群で現れる症状も同じです。
特に建築資材(合板や壁紙の接着剤)から多く発散されるホルムアルデヒドは目・鼻・喉に刺激を与えたり、頭痛や吐き気、息苦しさ、倦怠感などを引き起こします。
ただ、人間と違って犬や猫などのペットは自分が感じる不快感を言葉で伝えることができません。
目ヤニが出る、くしゃみをする、咳き込む、鼻水が出る、嘔吐するなどの症状が現れたら獣医さんに相談し、フードを変えたり薬を飲んで改善してもまた再発するようなら、シックハウス症候群かもしれません。
ペットのアトピーやアレルギーの原因にも
一般的にシックハウス症候群というのは、化学物質やダニ・埃・カビなど様々な有害物質で汚染された室内環境が原因で発症し、その環境から離れると症状が緩和されたり回復したりするものです。
しかし、一定期間悪い環境に晒され続けることで、体がアレルギー反応を起こしてしまい、慢性的な疾患(アトピー性皮膚炎や喘息)やごく微量の化学物質にも反応する「化学物質過敏症」を併発してしまうことがあります。
ペットの犬や猫についても同様で、フードや薬では治りにくいアトピーなどの慢性的な皮膚疾患やアレルギー性の結膜炎、皮膚炎、喘息などを発症することも。
また、強い刺激臭を感じることでストレス性の胃腸炎や脱毛、異常行動につながってしまうこともあります。
ペットをシックハウス症候群から守るには
大切な家族の一員である犬や猫などのペットをシックハウス症候群から守るには、発がん性物質であるホルムアルデヒドをはじめとする空気中の化学物質やマイクロプラスチックをできるだけ減らした生活を心がけること、積極的に換気を行うことが大切です。
新築・リフォーム時
新築やリフォームの際には建材の安全性に配慮し、”低ホルムアルデヒド(F☆☆☆☆グレード)”のものであっても最小限に抑えたいところです。
また、接着剤を使った合板や集成材を使わず無垢材を使用することや、プラスチック素材の壁紙を使用しないこと、壁紙の接着にはお米由来のでんぷん糊を使用することなどのシックハウス対策を。
家具・インテリアの選定
家具やインテリアの選定でも、F☆☆☆☆マークの確認をお勧めします。
家具の足を噛んだり床を舐めたりするわんちゃんには、コーヒーの木など”噛んでもいい木”を与えてあげると、ストレス発散にもなります。
カーペットやラグ、カーテンも化学繊維や合成ゴムが使われていない、麻やウールなどの天然素材を選んで。
また、システムキッチンやシステムバスにもできるだけ合板やプラスチックを使わず、ホーローや金属、無垢材のものをお勧めしています。
弊社ではご要望に応じて安心安全な材料での家具製作も行なっています。
日用品
生活の中での化学物質(柔軟剤や消臭・除菌スプレー、芳香剤、防虫剤など)を減らすよう心がけることも重要です。
自然由来のアロマオイルや炭、ヒノキなどの天然木、ハーブなどを効果的に利用し、化学物質に頼らない生活を心がけましょう。
ヒノキ、ベイヒバ、ベイスギ、アカマツなどの天然木はシックハウスの原因にもなるダニの発生を抑えるため、余分な防虫剤を使わずシックハウス対策ができて一石二鳥です。
換気
24時間換気はつけっぱなしにする、数時間おきに2か所以上の窓を開けて換気をするなど、積極的に換気を心掛けることも大切です。
天然木の床材や漆喰の壁を採用することで、自然と住宅が呼吸し、シックハウスの原因のひとつでもあるカビも予防してくれます。
今回は、犬や猫などペットのシックハウス症候群とアレルギーやアトピー、予防法についてお伝えしました。
大切なペットはもちろん、飼い主もみんな安心できる住環境を作り、いつまでも健康で楽しく生活したいですね!