ォーム後の頭痛・吐き気・目の痛みは化学物質過敏症かも|シックハウスより怖い現代病
忙しく日常生活を送っていると、多少の体調不良はついついそのままにしがちですよね。ちょっとした風邪や偏頭痛などは少し休めば良くなることもありますが、放っておいても良くならないどころか、悪化してしまう怖い病気もあります。
中でも化学物質過敏症は、癌のように外科治療や放射線治療といった治療もできず、これといった特効薬もない上に、日常生活に大きな支障をきたす深刻な病気。
今回は、意外と気づいていない人も多い化学物質過敏症と、その引き金となることもあるシックハウス症候群についてまとめました。
化学物質過敏症とは
化学物質過敏症(CS)とは、その名の通り化学物質に身体が敏感に反応してしまう症状。発症の原因は大きく分けて2通りあると言われています。
- 短期間に多量の化学物質を摂取すること
- 長期間にわたり、微量の化学物質を摂取し続けること
いずれにしても、取り込んだ化学物質の量が身体の許容量を超えた時に発症すると言われていて、その許容量は人によって異なります。
メカニズムとしては花粉症の発症に少し似ていますよね。
化学物質というと、催涙スプレーとか毒ガスとか化学薬品などを思い浮かべますが、実はわたしたちの生活の中にはありとあらゆる化学物質があふれています。そのため、化学薬品を取り扱う工場で働いていた、といった特殊な環境でなくても、化学物質過敏症を発症する可能性は誰にでもあります。
例えば1.の「短期間に多量の化学物質を摂取」でよく耳にするのが、新築やリフォーム後の住居に入居したてて体調を崩す「シックハウス症候群」。
建材に使われる合板や、接着剤、塗料、壁紙などから発生する揮発性の化学物質が室内に充満し、それを無意識に吸い込むことで頭痛などの体調不良が起こるのがシックハウス症候群ですが、一般的にはその室内環境から離れることで症状が和らいだり改善します。
しかし、人によっては短期間でも一気に化学物質の許容量を超え、化学物質過敏症に至ってしまう場合があります。
2.の場合は、シックハウス症候群には至らないまでも微量の化学物質を日々吸い込み続けた結果ある日突然発症するもので、建材からの化学物質だけでなく、消臭剤や防虫剤、合成洗剤、柔軟剤など、日々の生活の中に当たり前に存在する化学物質の蓄積が許容量を超えた時に起こります。
一度化学物質過敏症になってしまうと、その後は微量かつ様々な化学物質にも過敏に反応し、健康被害の症状が現れて日常生活が送れなくなってしまうことも。
中には、ガムテープや印刷物のインクなどにも反応してしまう人もいます。
きっかけとなる化学物質や許容量の大きさなどが人によってまちまちなので、まさに「いつ誰が発症してもおかしくない」と言われている現代の生活病です。
体調の悪さ=化学物質過敏症と本人でも自覚していない場合も多く、日本での潜在患者は1000万人以上、軽度の人を含めれば10人に1人が何らかの化学物質に対する過敏症状があると言われています。
化学物質過敏症の症状
電車やエレベーターなど、狭い空間での柔軟剤や整髪料の香りに対して、ちょっと気になるなくらいだったのが、ある日突然耐えられないほどの苦痛に感じる・・・、化学物質過敏症のきっかけとして、香りによる「香害」も知られています。
ただ、香りを感じる場合だけでなく、全く無意識かつ無自覚に吸い込んでいる化学物質もあり、自分の体調不良と化学物質過敏症が結びつかないという人も多いのではないでしょうか。
ここで紹介する体調不良に当てはまる方は、普段の生活環境について何か心当たりがないか、化学物質過敏症を疑ってみても良いかもしれません。
自律神経障害
化学物質過敏症では自律神経系のバランスを崩すことが多く、発汗異常、手足の冷え、頭痛、普段より疲れやすいなどの症状が現れます。
これは、化学物質によって身体がストレスを受けて自律神経がうまく働かなくなるためと言われていて、化学物質過敏症の人は神経機能検査により自律神経機能に異常値を示す方が多いそう。
逆に、化学物質過敏症であっても「自律神経失調症」との診断が下る場合もあるようです。
内耳障害
めまい、ふらつき、耳鳴りなど、メニエール病のような症状が起こることも確認されています。
内耳の障害は一般的に特に強いストレスや疲労がきっかけとなる場合が多いとされているため、化学物質によって無自覚に身体がストレスを受けていると考えられます。
めまいや耳鳴りなどは放置すると改善が難しくなる病気でもあるため、注意が必要です。
気道障害
喉の痛みや口が乾くといった気道障害も、化学物質過敏症の症状の一つ。
建材の化学物質によるシックハウス症候群でも、刺激を受けた喉や気道の異常が見られますが、これが日常の様々な化学物質に対しても起こるようになり、不快な症状が続きます。
循環器障害
動悸や不整脈、血行不良といった循環器障害も起こり得ます。
疲れや年齢のせいかと思ったり、現状は把握できてもなかなか原因が化学物質だとは結びつきにくい症状ですよね。
免疫障害
皮膚炎、喘息、自己免疫異常などの免疫障害。
自己免疫異常というのは免疫系が正常に機能せず、自分の細胞や組織を攻撃してしまう病気で、リウマチやバセドウ病、橋本病などが代表的なものですが、化学物質過敏症でも同様の症状が出る場合があります。
関節痛、発熱、疲労感、食欲不振、皮膚の発疹、脱毛、貧血、白血球減少、血小板減少など様々な症状になるため、整形外科に行っても、皮膚科や内科でも、はっきりとした診断に至らないこともあり、原因不明となってしまう場合も。
運動器障害
筋力低下、筋肉痛、関節痛、振せん(身体のふるえ)などの運動器障害も見られます。
振せんは、自分の意思とは関係なく筋肉が収縮することによって起こるふるえで、手・頭・声帯・体感・脚などの身体の一部に起こります。
重い物を持った時や、激しい運動をした時に筋肉がピクピクと動くような感じの症状で、特に手に現れることが多いのだそう。
40歳以上の20人にひとりはこの症状がある一方、原因は分かっていないそうです。
消化器障害
下痢、便秘、吐き気などの消化器障害では、下痢や便秘で化学物質過敏症を疑うことはなかなか難しいですが、原因もないのに吐き気がするというのは何かおかしいな?と気がつきやすいのではないかと思います。
よく妊娠中にお米を炊く匂いで気持ち悪くなる、と言いますが、そういった状態が他のちょっとした匂いや化学物質に対して現れている状態で、苦手な柔軟剤の匂いやタバコの煙などに反応する人も多いです。
眼科的障害
目がチカチカするなどの粘膜の刺激症状は化学物質に触れると起きやすい症状ですが、加えて調節障害、視力障害に至ることもあります。
悪臭が目に沁みるという表現がありますが、過敏になっている状態の人では普通の人には感じないレベルの匂いや化学物質に対して、目が痛いなどの症状が現れる場合も。
精神障害
上記の様々な身体的症状に加えて、不眠、不安、うつ状態、不定哀訴といった精神的な障害が引き起こされることも多々あります。
不定哀訴というのは「なんとなく体調が悪い」というすっきりしない状態で、漠然とした自覚症状を訴える人が医療機関を受診しても、身体の体調不調や不快感につながる明らかな病変が見つからない場合に使われる表現。
心身のストレス、不規則な生活習慣、ホルモンバランスの乱れなどが要因となり、自律神経のバランスが崩れたときにあらわれることが多いと言われています。
化学物質過敏症が直接的に精神障害を引き起こしている場合もあれば、過敏症に対する周囲の理解のなさや、医学的な解決方法が見つからないこと、日常生活が送れず人との交流や買い物・仕事もできないなどの孤立感など、複合的なストレスから精神を病んでしまう場合も多いようです。
電磁波過敏症
化学物質過敏症の人の中には、電磁波過敏症を併発する人も多い傾向にあります。
電磁波過敏症は携帯電話やWi-Fi、Bluetoothなどの電波、電子レンジ、パソコンなどのアースされていない家電などから発されている電磁波に反応してしまう症状で、こちらもいつ誰が突然発症してもおかしくない現代病のひとつと言われています。
化学物質過敏症になりやすい体質の人はそれだけ身体が敏感だとも言われているため、電磁波にも敏感に反応してしまうことがあります。
そうなるとさらに日常生活に支障をきたすようになり、様々な制限が必要になります。
化学物質過敏症になったら
今回挙げたような体調不良、自覚症状があり、化学物質過敏症かな?と思ったら、早めに対処することが大切です。
というのも、症状がひどくなると「消毒の匂いに反応して病院に行けない」「起き上がれなくて外出できない」といった重篤な状態に陥り、受けられる手当なども受けられなくなってしまうから。
具体的にどんな対処をしたらいいかを簡単に挙げてみます。
体調不良を引き起こすものを避ける
自覚症状を感じた時に、自分の行動パターンや記憶から、体調不良を引き起こすものについて可能性を探ってみて、できるだけ避けることができないか考えてみます。
タバコを吸っている人に近づかない、香りが強いものを身につけている人に近づかない、エレベーターを避けてエスカレーターにする、マスクをするなどの対策を。
また、外的なものに対してもそうですが、使っている洗剤や消臭剤など、化学物質が含まれているものは無添加の製品に変える、香りの強いものは使わない、など身の回りの環境を変える工夫も必要です。
合板でできた家具(テーブルや棚など)を多く使っている場合には、金属製のシェルフや無垢の木で接着剤非使用の家具などへの入れ替えも有効です。
病院を受診する
目の痛みや喉の痛み、倦怠感など身体の不調が続いて良くならない時には、なるべく早く病院を受診しましょう。
化学物質過敏症かも?という認識があれば、化学物質過敏症の診察をしてくれる病院を探して(「化学物質過敏症 診察 病院 +県名」で検索すると出てきます)受診するか、近くのアレルギー科のある病院などで、症状についての問診や検査が受けられます。
化学物質過敏症は保険適用の疾患として認められているため、基本的には医療費は一部負担で済みます(一部治療は自己負担)。
症状によって通勤が困難になった場合に、傷病手当をもらって休職する場合には診断書が必要。また、病気を理由に退職する場合にも、診断書の提出を求められることもあります。
化学物質過敏症の診断書が出せる病院は全国でも限られていますが、抱えている症状に当てはまる診断書でもいいので(うつ病、自律神経失調症など)、病院に通えなくなるほど症状が悪化する前にしっかりと取得しておくことが大切です。
引っ越しやリフォームを考える
住宅やマンションの建材による過敏症の場合には、その環境に住み続けていると症状が悪化してしまいます。
日常生活で化学物質をなるべく排除しているはずなのに全く症状が改善しない、という場合には化学物質過敏症対応で安心な建材を使用したリフォームや、CS対応の賃貸物件などへの引っ越しも視野に入れることをお勧めします。
また、排気ガスの多い都心部から郊外への引っ越しなど、環境を大きく変えることで症状にも変化が見られるため、移住をする患者さんも少なくありません。
人によって原因も症状も様々な化学物質過敏症、適切なリフォームを行うためには正しい知識やそれぞれの症状に合わせた建材選びや工法のノウハウを持った、信頼できる工務店を選ぶことが重要です。
当店では、建て替えやリフォームの間の一時避難場所として、CS対応の賃貸物件もご用意しています。
家の建て替えやリフォームをお考えの際はお気軽にお問い合わせください。